設計コンセプト設計コンセプト

私たちは、建主の希望と敷地の環境条件を読み解き、機能的で使いやすく、自然を感じるシンプルで気持ちの良い空間、長く愛される住まいと建築を提案します。

また昨今の台風や酷暑など、日本でも「地球温暖化」による気候変動が目に見えて酷くなってきました。災害に強いだけでなく、CO2を排出しない低炭素な木造の建築、ZEH(ゼロエネルギーハウス)やZEB(ゼロエネルギービルディング)、電力を自給するオフグリッド建築、そしてLCCM住宅(ライフサイクルカーボンマイナス)など、より環境負荷の少ない建築や住まいの設計に取り組んでいきます。

シンプルベーシックなデザイン、
明るく広がりのある空間

光と風をバランス良く取り入れ、オープンで明るく広がりのある空間、機能的で使いやすい動線、四季の変化を感じながら気持ちよく過ごせる、健康的で豊かな空間をつくります。
また愛着を持って長く使える、木と白い壁を組み合わせたシンプルでベーシックなデザイン、自然素材による質感の良さや経年変化の味わいを生かし、時間とともに変化する暮らしや利用形態にフレキシブルに対応可能なプランニングを行います。

高い基本性能と
再生可能エネルギー利用

私たちは、断熱気密性能などの基本性能を高め、太陽や風など自然の力を効果的に活用する「パッシブデザイン」を実践し、設備への依存を低くしながら、エアコン1台で全体を賄えるような、冬暖かく夏涼しい、わずかなエネルギーでも気持ちよく過ごせる建築や住宅をつくることを目指しています。 省エネ計算に加えて、隣接する建物も含めたシュミレーションを行い、敷地の環境条件を読み取りながら、最適な計画案を導き出します。 コンパクトな形態なら、太陽光発電と蓄電池による「オフグリッド」(電力会社からの電線をひかない独立電源)の実現も可能です。我慢せず適度な調整で気持ちよく過ごせる住まいや建築をつくり、気候変動リスクの低減、脱炭素社会の実現を目指します。

01
断熱気密性能

断熱性能を高めれば、室内の温度差が少なくなり、ヒートショック防止、喘息やアトピー、心疾患などの改善につながります。光熱費の削減だけでなく、医療費削減にもつながるわけです。断熱性能の指標である「外皮平均熱貫流率(UA値)」は、東京(6地域)だと、H25年基準のUA値が0.87(W/m2k)、ZEHでも0.6と基準値はそれほど高くありません。HEAT20という基準のG2(0.46)やG3(0.26)以下を目指すべきだと考えます。高い断熱気密性能を確保すれば、正しい日射遮蔽と日射取得によって「無冷房、無暖房化」も夢ではありません。

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02
日射遮蔽と日射取得/通風の確保

窓配置の工夫によって通風や採光を確保し、冬場の日射取得と蓄熱、庇や外付けブラインドによる夏場の徹底した日射遮蔽、あるいは落葉樹やつる植物を活用したグリーンカーテンの柔らかな日射遮蔽など、自然のエネルギーを活用する「パッシブデザイン」は設計の必須条件となりました。

03
再生可能エネルギーの積極利用

どの地域にも降り注ぐ太陽エネルギーを活用した太陽光発電や太陽熱温水器、そして蓄電池を活用した自家消費や電力自立も現実的な選択肢となりました。
「V2H」で電気自動車を蓄電池として利用し、太陽光発電と組み合わせれば、ガソリン代も不要となり経済的で、移動エネルギーも含めた家庭全体のゼロエミッションも実現できそうです。

04
高効率の設備機器とエネルギーの見える化

太陽光発電を設置すれば、夏の冷房は電気の自給で十分対応が可能。冬は発電量が減るため、太陽熱や木質バイオマス利用の低炭素な暖房器具や、基礎断熱の「床下暖房」を採用して、エアコン1台で足元から暖かく、室内温度を一定に保つようなことも考えます。また全熱交換型の換気システムを採用し、新鮮空気を取り入れながら熱ロスを抑えることも重要です。太陽熱温水器を採用すれば、大幅に給湯エネルギーも抑えられます。
またHEMS(Home Energy Management System)を採用して「エネルギーの見える化」をはかれば、暮らしを工夫しながら、より実践的に省エネをすすめることができます。

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ZEH(ネットゼロエネルギーハウス)

アトリエ六曜舎は、ZEHプランナー登録事務所のため、ZEHの助成金利用が可能です。また 一般社団法人えねこやとの連携で、太陽光発電の設置をスムーズに進めることができます。

国産材と木造、
土に戻る自然素材にこだわる

私たちが設計する建築や住宅は、国産の杉材を用いた骨太の在来工法がベースの、耐震性能の高い木造が標準仕様となります。 森林に恵まれた日本で、木造建築や木造住宅を建てること、木質材料を生かすことは、地産地消の循環型社会という観点からも自然な流れであり、環境負荷が少なく地域資源を生かす有効な選択枝にもなります。大量のCO2を消費しながら海外から運ばれてくる安価な外国産木材を使うのではなく、杉や檜、赤松や唐松、栗などの地産地消の国産材を、構造材や仕上材として極力活用し、運搬エネルギーの軽減、日本の森林と林業の再生、環境・生物多様性に配慮することは重要です。
また国産材由来の木質繊維の断熱材や国産の木製サッシなどの採用も検討します。建築の使命を果たした木材は、分解されて土に戻るため、計画生産を行えば人間が唯一作り出せる、再生可能な資源循環型の素材なのです。 また「木」は決して火に弱い材料ではありません。燃えしろをしっかり確保し、仕上げに工夫をすることで、住宅だけでなく中大規模木造建築にも十分活用できます。木材だけでなく、紙や土など、吸放湿性能が高い自然素材は、健康的で快適な室内環境を提供し、経年変化の味わいも楽しめる、環境負荷の少ない貴重な素材です。

高い耐震性、耐久性、可変性、メンテナンス性

構造計算で検証した高い耐震性と耐風圧性、時間軸に応じた可変性や耐久性に配慮することで、安全・安心で長寿命な建築が実現できます。
愛され続けるデザイン、バリアフリーで高断熱・高気密の高い資産価値は、リノベーションによって世代を超えて受け継がれ、スクラップ&ビルトからの脱却に繋がります。ただしメンテナンスフリーの住宅や建築は存在しません。骨組みがしっかりしていても、仕上げや設備機器、配管・配線等は、いずれ必ず劣化します。メンテナンスを効率的に行える点検口の設置や床下空間の確保等への配慮も、長寿命な建築を実現するためには不可欠です。

災害に強い・レジリエンス性

増え続ける台風や地震、火災や水害などの災害に、しなやかに対応し被害を最小化する「レジリエンス性」は、建築や住宅の重要課題となりました。
二次災害となる「停電」には、太陽光発電や蓄電池、電気自動車などによる備えを、また「断水」には、雨水利用や井戸水、貯湯タンクなどによる非常用水の確保が有効です。
また災害時だけでなく、日常的にこれらを活用することで、環境負荷を抑える効果にも期待できます。

緑の建築、
景観からまちづくりへ

屋外にもうひとつの部屋をつくる、室内の広がりを演出する、木や草花などの植物を加えて、微気候の調整や小さな生態系の再生をするなど、敷地全体を有効に活用することはとても大切です。
庭に落葉樹を植えて四季の変化を感じ、実がなる木を植えて収穫を楽しみ、実を食べに来る鳥を観察する、風でゆれる葉の音やほのかに漂う花の香り、葉の雨露に反射する光、さまざまな鳥や虫の動きなど、少しの緑でも、自然の美しさや精神的な癒しの効果を日々もたらしてくれます。
子ども達にとっては、身近な緑の空間は、原風景として五感とともに心に深く刻まれます。緑がCO2を吸収し、生物の多様性をつくる、身近な温暖化対策のひとつです。 最初は1つの小さな「緑の建築」も、やがてそれがつながり「緑の街並」になれば、環境が良好になり、街と建物の資産価値もあがるはずです。

住宅の設計について

家づくりにこだわりを持つ人が増え、法規制や検査、建物性能、環境など設計の与条件が複雑になり、簡単な設計で納得できない人が増えています。今なお面積や間取り、仕上げ、キッチンや床暖房などの設備機器、耐震性能など「わかりやすい差」が住宅のグレードと考えられる風潮はありますが、実際には、空間の広がり、光や風のはいりかた、素材の質感や色彩、温熱環境など「わかりにくい差」が住み心地に大きく影響を及ぼしていることが多いのです。
個人や家族のライフスタイルが多様化するいま、敷地や予算などの与条件と、建主の希望をしっかり理解し、よく話し合いバランスよく計画をまとめ、第三者としてサポートできる建築家(設計事務所)が、重要な役割を果たすべきだと感じます。
ハウスメーカーや一般的な工務店は、一定のルールに基づいた標準設計と大量生産の既製品を組合せ、限られたメニューによって、工事と設計の合理化をはかり、本来必要な建主への説明用の図面や資料を大幅に省略しています。 私たちは、多くの図面や模型、スケッチなどをもとに、建主と細かく内容を確認しながら計画を進めます。これによって建主が建てる前に、住宅のすみずみまで理解がすすみ、完成後に「こんなはずじゃなかった」という後悔を大幅に軽減します。つまり人任せではなく、建主自身がじっくりと悩み、考えることで、はじめて納得の住まいづくりが実現できるのです。
私たちは、プランだけでなく、建物性能、素材、設備、環境、暮らし方にいたるまで、多様な説明とアドバイスを行うことで、家づくりをよりよい方向に導く重要な役割を担っていると考えています。