屋外空間を計画するときに考えたいポイントは積極的な「緑」の活用です。例えば、庭に落葉樹を1本植えれば春の新芽、初夏の花、夏の濃い葉、秋の紅葉、そして冬の幹の美しさなど、四季の変化を毎日少しずつ感じとることができます。また、実がなる木であれば収穫を楽しんだり、それを食べに来る鳥を観察したり、あるいは風でゆれる葉の音、ほのかに漂う花の香り、葉の雨露に反射する光、さまざまな虫の動きなど、少し緑を加えるだけで、自然の美しさや小さいながらも複合的な生態系を毎日の生活のなかで感じとることができます。これらの身近な緑は住まい手にとって、五感の向上や精神的な癒しの効果をもたらしてくれるのです。特に、子供の成長にとても大切なことだと思われます。子供は成長の過程で、庭の土やそこに育つ木や草花、そしてそこに住む虫や鳥たちなど、小さな生態系と関わりながら、さまざまな情報や経験を日々の生活や遊びの中で、自分の「住まいの原風景」として記憶にすりこんでいきます。このような経験の積み重ねが、自然に対する優しさや創造力をより大きく育くんでいくのだと感じます。