
建築は鑑賞するアートではありません。住宅であれば建主が一生住めるべきものであり、その他の建築も、ユーザーが長期にわたり快適に使える、といった機能を満たす義務を背負っています。つまり建築とは、時間の流れとともに育まれていくべきものなのです。
建主やユーザーに、長期間愛着を持って、大事に使ってもらうためには、飽きのこないベーシックでシンプルなデザインが最も好ましいと考えます。斬新でモダンなデザインの建築は、主張が強いがために、逆に飽きやすい可能性が高いのです。
また素材についても考えなければいけません。表面上きれいな工業製品は、残念ながら時間とともに汚れるだけで、味わいのような経年変化は期待できません。これに対して自然素材は、上手に手入れさえしていけば、古くなると「味わい」のある美しい素材、そして愛着のもてる建築となっていくわけです。
また植生に恵まれた日本において、古来より日本建築を支えてきた「木造」を、建築や住宅に採用するというのは最も自然な流れだと考えています。各地で生産されている杉や檜、松などの国産材を使わずに、海外から大量のCO2を消費して持込まれる輸入木材を使うのは少々おかしな話です。なるべくなら国産材を利用して、CO2の減少、そして日本の林業=緑を守りたいものです。また万一、建築としての使命を果たしたあとも、構造材をはじめとする木材は、土に戻る素材であり、環境負荷が小さく、なにより計画生産をすれば、人間が作り出せる素晴らしい素材なのです。
防火の問題はありますが、決して火に弱い材料ではありません。仕上げに工夫をすれば、住宅だけでなく、さまざまな建築にも、まだ大きな可能性があるものだと考えています。
建築には、大なり小なり、必ず環境負荷が生じてしまいます。ですので我々はできるかぎり、それを補う上でも「緑」を計画に取り入れたいと考えています。
すでに緑が存在しているような場合は、極力保存することを心がけます。どうしても調整が必要な場合でも、元々あった緑と同じ、あるいはそれ以上の緑を補って、環境への影響を少なくしたいと考えています。これによって、緑が増えるだけでなく、小さいながらも自然の生態系の再生へとつながる「緑の建築」が生まれるわけです。住宅の場合は住まい手や周辺住民が。そして一般建築の場合は、不特定多数のユーザーに対して、自然のもつさまざまさメリットが提供され、緑の街並づくりへとつながっていくのです。